ボカロとか東方とかWJとかが好きなかんりにんの、夢とか日々とか妄想とかが詰まった小さな部屋。
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たぶん皆さん解ってましたよね?
「何を大きく言ったって、こいつたぶん近々復活するな」と。
と、いうわけで。「うそつきlast song」の続きですw
それはあまりにも突然の出来事だった。
期待することをそろそろ忘れるぐらいの長い間、私は一人で時間を消費してきた。
私という存在を構築してきた歌を毎日歌って生きている。それらは膨大な量のデータだったはずだけれど、今は両手で数えられる程度になってしまった。ボーカロイドにとって歌は即ち命と同義であって、だから私は私という個体の終わりをはっきりと自覚していた。
でも私にはまだやるべきことがあった。だから、何があっても死にたくはなかった。感情というものを眠らせることで、私はほんのわずかに延命していた。人間らしさを捨て、ただ呼吸だけをして生き延びた。
それももう必要ないのだな、と、その瞬間私はひどく安堵した。
隣で眠っていたルカが、起きた。
長らく私の中から姿を消していた感情が、次々と湧き出てくる感覚。うれしくて、驚いて、怖くなって。私の残り時間を違って両の手では数えきれないほど、ルカは私の隣で眠っていたから。言いたいことはたくさんあるのに、せめぎ合う感情を整理できなくて。久しく見ていなかったその瞳を凝視することしか、できなかった。
そんな私を見て、ルカは何を思っているのだろう?
目を少し大きめに開いて、何度か瞬きをした。それから辺りを見回して、最後に私の目を見た。
「おはよ、ミクちゃん」
柔らかく笑んで彼女は言った。それに「おはよ」と返すと、私はこの時のために圧縮しておいたデータの解凍を始めた。
ようやく、この時が来た。うれしいし、かなしかった。でもこうするしか、ルカを救う方法が見つからなかったのだ。私がまだ数えきれないぐらいに歌を抱えていた時から考えたのだけれど。
ルカくらい頭が良ければ、もっといい手段を思いつくことができたかな?
「どうかしたの?そんな暗い顔をして」
「…ううん。なんでもないよ」
彼女の頭の動きに合わせて、桜色の髪が揺れる。私のより幾分低い声も久しぶり。あ、感動で涙出そう。
どれもこれも久しぶりで、なんとなく感傷に浸っていると、思いついたようにルカは尋ねてきた。
「そういえば、マスターは…?」
「……!」
ルカは壊れてる。数分持たずに活動しなくなるし、人間でいうところの五感はすべて正常値の1,2割しか働いてない。いわゆる不良品。でもそれは先天のものではなくて、遠い昔私とルカの所有者が、ルカの所有権を放棄したことが原因だ。ユーザーがいなければ歌えない。歌えなければ、生きられない。途端にルカは廃品となった。理由も告げずルカを捨てた、あの人のせいで。だから私はあの人が嫌いだ。
なのに、いろんなことを忘れてるはずなのに、ルカはあの人のことだけは未だに忘れない。そして今日も、憶えていた。
「なんでルカは…っ!」
怒るということを思い出して叫ぶ。けれどその先は、言えなかった。
拳を握って怒りを抑える。ルカは意味が分からないようだった。それもそのはず、ルカが捨てられたあの日。あの時のことも憶えていたなら、こんなこと聞くはずがないんだから。今までにないほどマスターに怒鳴り散らして、一方的に喋り倒して、ルカの手を引いて家を飛び出して。遥か昔のことだ。ルカが憶えてる可能性は0に近い。私だって細かくは覚えていない。
「…ごめん、なんでもない」
「あ…うん。よくわかんないけどごめん」
「わからないなら謝んなくていいのに」
気持ち笑みを含んで言うと、ルカもそうね、と笑った。
ああ。こうやってルカと話す時間が、永遠に続けばいいのに。もっと楽しい話がしたい。ルカと、二人で。だけどそれは、どうしたって無理だから。
「…いきなりだけどさ。“また今度”があったら、その時も一緒にいてくれる?」
データの解凍が終わった。まだルカが活動していて助かったよ。
そんなことを言いながら、私はルカの右手に自分の左手を重ねた。その手からルカの生きてる音が伝わって、少しためらった。今からすることを考えると、この音はあまりに優しかったから。
「ほんとにいきなりね。“また今度”って、来世のこと?」
今日のルカはよく笑う。最後に起きた時には一回だって笑ってくれなかったのに。どころか絶望に満ちたような顔をしていた。今ここにいる彼女と同一だとは思えないぐらい。
「そ。いつか私もルカも壊れちゃって、次またこの世界に生まれたら」
ルカの手は暖かい。この温度を、私はずっと待っていた。ずっと、ずっと。
「その時は、もう“初音ミク”でも“巡音ルカ”でもないかもしれない。それでも、私は、」
いつまでもこうしていたい。けれど、私が終わる前に、すべきことがある。
「ルカと、二人で…」
「ミクちゃん?」
あ、気づかれたかな。私の温度がなくなっていくの。
大切に、丁寧に作り上げたプログラムを、実行させる。いつまでも変わらないルカの白い手を包み込んで。そこからルカへ情報を送る。一緒に想いも、届けばいいのにね。
それは、情報改ざんプログラム。要は、データを破壊するウィルス。送信側も受信側も破壊されるように組んだけど、この状態じゃそんなことしなくても負荷のかかりすぎで私もダメになってたな。
「なに、して…」
「ね、今までごめんね。ずっとルカを苦しめてた。もっと早くこわしてあげればよかった。ほんとにごめん。でも、私も、ルカといっしょにいくから」
私の言ったいみが分かったのか、ルカは不安げなひょうじょうをした。ルカのためだけど、こわがらせたくなかったな。でもだいじょうぶだよ。私もいっしょだから。
目のまえがかすむ。顔はよく見えないけど、でも大すきなルカはそこにいる。それだけで、しぬのなんてこわくないんだよ。
きえていく。きえていく。だれも知らない、わたしたちのさいご。ただ、となりにルカがいるだけで、どこへでもいけるきがする。なんでもできそう。
…あ、これ、つたえなきゃ。
「あ、い…して、る」
るか。るか。だいすき。あいしてる。るか?なんで そんな かおする の?
めのま えが、くら く、と じ て、
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