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ボカロとか東方とかWJとかが好きなかんりにんの、夢とか日々とか妄想とかが詰まった小さな部屋。

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拍手パンダ消しました。1週間ぐらい前に(←

ので、その時使ってたお礼文をのっけときますねー


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とある放課後、化学実験室にて。


「…訊きたくないけどさー。ルカちゃん、これなに?」
「これ、とはどれのことを指すのかしら?」
 
これだよこれ。見ればわかるでしょ?私が今手に持つ、今日の昼に買ったばかりのチョコチップパン。の、残骸。製造元の工場で密封されるはずの袋の口は全開で、中身は当然の如く消え失せている。この辺全部省略して「チョコチップパンの消失」の原因は、目の前にいる悪友兼クラスメート兼部活仲間兼おっぱい星じ…の、こいつだ。
 
部活動という表現があやしいこの部の足溜まりである化学実験室の冷蔵庫を拝借して(もちろん許可は取っていない)冷やしていたそれは、放課後来た時には外袋しか残っていなかった。

「なんで食べたの?」正当化されても困るけど。
「してもいない犯行の動機を訊かれても困るわ」うぜぇ。
「あのさ…。我が化学部は、部長のあなたと副の私しかいないの。てか、私来た時あんたしかいなかったじゃん」結論。
「あら、あっさりばれてしまったわ。いやね、パンを冷蔵庫に入れるのは邪道かと思って」なにがだよ。
「それ別に人の食料を食べていい理由にならないからね」あ、分かってやってるのかこの人。
 
これ以上言いあっても終わらない。とにかく私のパンは彼女の胃の中へ誘われてしまったのだ。窃盗犯に実刑を言い渡す。

「とりあえず、同じの買ってきて。謝罪も弁解もそのあと」
「えー、嫌よ。せっかくミクのを食べた意味がないじゃない」

きっとこの人は私を便利道具の青だぬき程度にしか思ってない。今回は、ただでパンを出してくれた、といったところ。私はあんな不思議ポケット所持してないけど。何でもいいから私はあのパンが食べたいの。だから、すでにごみと等しくなってしまったパッケージを彼女に無理やり手渡す。別に限定品でもないけど、盗み食いされたことにいらっとしたので同名商品を頼んだ。渋々、本当に腹立たしい程渋々と部屋を出ていく彼女を見送って、机の上を適当に払ってかばんを置き、私は入室約10分後にやっと着座した。

理科室独特の丸椅子はガタガタするから嫌いだ。あとこの部屋、化学室というだけあって薬品のにおいがどこからか漂ってる。これも好きじゃない。ついでに進級後初の化学のテストは40点以下。つまるところ私は化学が苦手で嫌いだ。…ちなみに、部長はお得意ですよ、化学。確か順位表に名前が載ってたっけ。あの人がこの部に入ったのも肯ける。…なんて、他人事のように思ったり。

私の入部理由はいたってシンプル。文化部に1~9の数字を振って、9面サイコロを振った結果。ほんと、何の縁だろーね。どうでもいいけど。

……彼女が帰って来たら、どんな言葉を浴びせてやろうか。

日がよく当たるこの部屋で、そんなことを考えて時間を潰した。同行会にもなれないこの部活でそれらしいことをしたことは一度だってない。部長との会談部、とでも改名した方がいいかもしれない。要は、彼女がいないと何もすることが無いのだ。早く帰ってきてくれないと、困る。

結局してやりたいことがありすぎて考えがまとまらないままに彼女がパンどころか春雨を買ってきて声を張り上げたのは、もう少し後の話だ。



◇     ◇     ◇


繰り返す夏、一度きりの言葉


 市民プール…もとい庶民プールで遊んだ日の夕暮れ。喫茶店で団全員の分の飲食代を払わされ、解散の号令がかかった直後。自転車の鍵を外し、さぁ帰ろうと思ったその時。ふと、俺の背に伸びる道に目をやった。見えるのは、赤く染まる空と、明かりの灯り始めた街並み、それから――長門の歩く背中。一定の速度で俺との距離を伸ばし、自宅とのそれを縮める歩幅。俺は「長門!」…は?なにをしてんだ、俺は。

自転車は放置禁止区域に放置したまま、呼んだ奴の元へと走る俺。受け身の長門は無視なんて心が砕けそうな行為はせず、立ち止まって振り返ってくれた。色を変えることの少ない目で、俺は捉えられる。

「ああ、えっと、特に何もないんだが…」

そりゃそうだ。俺自身でさえ、こいつを呼びとめた意味がわからん。だからと言えばあれだが、俺は天気の話並みに汎用性のある話題を提示した。

「最近どうだ?元気でやってるか?」
「元気」即答。こいつらしい答えだ。ただし、事実かどうかは検討の余地がありそうだ。…それもいつものことか。

にしても、まずい。話題が切れた。何故だか俺はこんな場面をどこかで見たような気がするが、今はどうでもいい。体も目も真っ直ぐ俺に向ける長門へ対して掛ける言葉が見当たらない。いや、そもそもあったのだろうか。俺は無かった方に賭けたいね。

ぽりぽり。右手で右頬を掻く。俺は声を発した。それも、前に言ったことのあるような言葉を。

「そうか。引き止めて悪かったな」

無言で長門が回れ右をする。俺も倣おうとして、ドタキャン。やっと、口にすべき言の葉がダウンロードされた。そうか。これが言いたかったのかもな、俺。

「長門」

足が止まる。長門が止める。振り向く。長門が。振り向く、その前に。

「また、明日な」

ぴたっ。無言。頷いて、歩き出した。
 伸びる影。伸びる距離。
 遠ざかる、遠くなる。

 俺はハルヒに指摘されそうな笑みを自覚した。それから、俺の帰りを待つ自転車を取りに向かった。
(本当に賭けをしていたら、俺は負けてたわけか)
 夕暮れ時の帰り道、吞気にそんなことを思った。



◇     ◇     ◇


巡る世界と巡る記憶


はじまりはいつも透き通る歌声から。わたしは春の眠りから覚める時のように目を薄く開けて、また世界が終わったことを知る。

これで何度目だろう。いつからか考えるのをやめたせいで、その正確な値は知る由もない。それでも目立った問題はなかった。こうして世界は廻り続けているのだから。




わたしは別に、時の番人でも魔法使いでもない。わたしがこうして時を彷徨うのは、“巡音”であるが故。それ以外の、それ意外のどんな理由も、そこには存在しない。わたしの世界は、歌で始まり歌で終わり、歌を以てまた巡る。なにがどうなってそうなるのかは解し得ない。ただ、その事実があるだけなの。


歌、と言った。ここで言う歌とは、だれがどんな旋律を奏でても、そう名乗る条件は満たされない。世界のはじまりは常に限定されていて、そのほかに手段はないらしい。

いつも決まって耳に響く、ある一つの歌。その声は高く高く伸びて、時には重く暗く沈む。今思うと、それは全てのはじまりの歌なのかも知れなかった。この世界に存在する一切の事物や現象を表すような旋律。力強く、かと思えば柔らかい音が耳に溶ける。わたしは、そう思いたいというのもあるのかもしれないけれど、そう、思っている。



彼らが知らないだけで、世界に幾度となく終焉は訪れている。一つの歌で始まり、一つの歌で終わる世界。不安定な要素で構成される為に、果敢なすぎてすぐに散り失せてしまう。だけど、だからこそ、世界はこんなに美しいのかな、なんて。


もしもこの世に「神」と呼ぶべき存在がいるとしたら、それはきっと彼女のことを指すのだろう。世界を生産し続ける、彼女のことを。そのことは彼女のおかげで生を味わっているものは愚か、彼女自身でさえ知らないのだろう。あんなおてんばな少女が自身の正体を見極めていたとすれば、わたしにしたらそれほど残酷なことはない。だって、ほら、

「あ、ルカ、起きたんだ」

こんなに無邪気に、わたしに話しかけるだろうか。

「…ええ。おはよう」

こんな複雑に感情が混和した状況で、わたしは返事をするだろうか。


少しばかり嫌な思いをするのははじめだけ。いつもそう。だからこの一時の心は放っておく。そうすれば、彼女の笑顔が見られる。彼女の歌が、聴ける。それだけでわたしは、“巡音”でいることを受け入れられる。わたしにとって、世界は彼女そのものだから。


こうしている間にも、人はどんどん未来へと歩んでいる。現在は未来とよく似ていて、また過去ともそう。現在は瞬く間に過去となり、同時に未来を削る。未来はいずれ過去となり、残るのは永遠とも呼べそうなそれだけとなる。

この先に永遠なんて無い。積み重なる過去が証明する。けれど、もし、未来が何度でも繰り返し存在するとすれば。それは誰の意思なのか。繰り返す過去の中で、わたしは知った気がした。


“巡音ルカ”――音は歌になり、流れ巡りあう。過去と現在という限られた枠組みの中で。だけど未来へは、わたし含めなにかが巡ることはない。そうでしょう?まだ予測すら不確かなその空間に手を出すことなんてできないのだから。すでに経過した時間の中で、わたしはいつまでも巡り存在する。逆に言うと、その程度の存在でしかない。

未来。それはわたしが干渉し得ない領域。全て生物のこれからを決める、それ。たった一つの存在にだけ立ち入ることの許された、汚れなき時空。
大げさだけど、本当に「神」みたいな存在が、この世に一人だけいるの。本人は知らないでしょうね、こんなこと。


ねぇ、これからどんな未来を創るの?わたしは今から楽しみで仕方ないわ。わたしは何も手出ししないから、あなたの好きなように未来を決めるといい。その未来に、わたしはあなたと一緒に。




“初音ミク”――未来の初まりは彼女の奏でる音から。

あまりに儚く、素敵な世界。


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無題
長門可愛いよ長門
2011/11/12(Sat)17:44:16 編集
Re:無題
≫S

おっおうw
一応「エンドレスエイト」の時の話なんだぜ。またハルヒ見返したら書きたいなとは思う。ハル長とk(ry
【2011/11/12 19:44】
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