ボカロとか東方とかWJとかが好きなかんりにんの、夢とか日々とか妄想とかが詰まった小さな部屋。
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そういえば、カイト誕の小説うpしてなかったんですね…。
某SNSには上げたので、てっきりこっちにも上げたかと。
あ、カイルカです。タイトルは付けてないです。
仮題は「冬の桜」。なんともありきたりな(-_-;)
某SNSには上げたので、てっきりこっちにも上げたかと。
あ、カイルカです。タイトルは付けてないです。
仮題は「冬の桜」。なんともありきたりな(-_-;)
「カイトさんカイトさんっ」
愛しい彼女が慌てたように僕の名を呼ぶ。それに反応するのに、コンマ一秒もの時間すらかからなかった。
「どうしたの?」
読んでいた新聞から視点を彼女に切り替える。紙面の向こう側から、桜色が僕目掛けて近付いて来る。冬に見る桜はまだ春でもないというのに明るく咲き誇っていた。きれいだな、と目を細める間もなく、桜は僕に言った。
「お誕生日、おめでとうございます!」
満開。今日はいい花見日和だ。こういう日はめーちゃんが酒飲んで暴れるから気をつけないと。天気予報は快晴だと新聞に書いてあったし、傘はいらないかな。適当にサンドイッチを作って、ジュースはオレンジとバナナと野菜か。荷物になるなぁ。ミックスジュースにしたら怒るかな?あ、ビニールシートも持っていかなきゃ。季節外れもいいところな妄想をキリのいいところで止めて、現実に戻る。
「ああ、ありがと」
手に持つ新聞を落としかけて、すぐ後に落としておけばよかったと後悔する。僕の両手が塞がっていたから、飛びつこうと思ったらしい彼女は僕に配慮してそれをやめた。
うん、我が妹ながらかしこい子だ。あのまま飛んで来られたら、僕は彼女を受け止められなかっただろう。昔同じようなシチュエーションでミクに抱きつかれ、その勢いと当たり所の悪さに気を失いかけたのを彼女は知っている。瞬時にそれを思い出したのだとしたら、彼女は相当記憶力がいいということになるのだろうな。
閑話休題。彼女がその行動をキャンセルしたのにはもう一つぐらい理由がありそうだ。その細身の後ろに回された手。すごく、気になる。だけど僕は、こっちから尋ねるような気の利いたことはしない。僕に用があるものなら、それがいつであれ彼女から僕に言うだろう。
僕の隣は空いているのに座ろうとせず、顔を伏せている彼女を見上げる。僕より背の低い彼女を見上げるというのは新鮮だ。ガサガサと音を立てて新聞を閉じ、右手の方に置くと、間を置くことしかできない様子の彼女に助け船を漕いだ。
「……床と見つめあってないでさ、」そこまで言ったと同時に、彼女の唇が微かに動いた。僕は言葉を切り、彼女の言葉の続きを待つ。
「あ、の」
「ん?」
「えっと、えっとね?」
君は白いネコさんの帽子は被ってないでしょう。とっとと本題に入りなさい。とか、そんなことを言いたくなるのはこの敷地内では彼女以外にいない。一般的に末っ子はわがままな場合が多いとか云うけど、うちの末っ子にその一般論は適用できない。きっと、お母さんのおなかの中に長いこといたからだろう。本当なら次女と呼ばれるポジションで生まれてくるはずだったから。
「これ…」
伏せた顔はそのままに、僕の目の前に紙袋が差し出された。そんなに大きくないそれより先に、それを持つ白く細い指に目が行ったのは秘密。
要はこれ、僕にくれる…んだよね?
そう訊くと、彼女は何の音も発することなくこくこくと頷いた。
「なになに、開けていい?」
「ど、どうぞ」
ではお開け致します。苦手な敬語を流暢に使いこなして、僕は淡いピンク色の紙袋をお開けする。年と経験に比例しない緊張感を抱きながら、その中身をご覧になった。
「…。」
これを見てマトリョーシカを思い出すのはたぶん僕だけに限らないと思う。袋の中にはおそらく紙製のこれまた小さな箱。省エネ大国にあるまじき資源の使い方だ、なんてこと僕は思わない。むしろこの国は、この程度のぜいたくなら推進してもいいと思う。
はてさて、青色の瞳が不安そうに揺れるのを見なかったことにして、その箱を表へと出す。それに少し遅れて、甘い香りが鼻先を掠めた。
ああ、はいはいわかりましたよ、っと。こういう時に無駄に観察力というか洞察力というかが働くのは僕の嫌なスキルだ。周りからはよく「空気が読める」奴と称賛されるけど。読めすぎていいことはない。特に、こういう場面では、本当に必要のない能力だ。素直に分析すれば「雰囲気を壊す」奴ということに等号が用いられてしまう。ドッキリとかサプライズとかに引っかかれない。だからこういう時には、中身当てゲームをささやかながら開催するのが最善の策と言えよう。
「ねぇねぇるーちゃんさん」
なんですか?の代わりに彼女はゆっくり首をかしげた。桜が風に吹かれる様に、その髪も重力に逆らうことはない。ああもうそのかわいさは反則だ。今から僕がなにするかを知らないから、そんな仕草ができるんだ。勢い余ってレッドカードでも掲げてしまいそうな右手を理性諸々で押さえつけて、僕は言う。
「中身、当ててあげよっか」
これを言う時はいつも心が痛む。この時の為に僕に一切隠し通していたのかもしれないと思うと。だけれど彼女はそれを僕の挑戦か何かと捉えてくれたくれたらしく、頭の上に感嘆符を浮かべて軽く頷いた。
「なんだと思いますか?」
彼女の挑戦的な色を帯びた笑顔に対して、僕もあーだのこーだのぐだぐだと中身を予想する振りをする。クイズ番組とは少しばかり趣向が違うけれど、そんなかんじで僕らのクイズ大会は早くも大詰めを迎えた。将棋で言えば王手、チェスでいえばチェックメイトをかける、瞬間。
「チョコ、だよね」
疑問符はいらない。それほど僕には確信があった。…わけじゃない。まあでも、僕の誕生日がバレンタインと被ってることもあって例年それをよくもらうから、確信があると言えばあるのかも。
面喰ってる。その口から今にも驚きの声が上がりそうだ。隠し味をつけるため、僕は最後に「どう?」と自信ありげな発言をして投了。彼女が素直で助かった。経緯はどうであれ、僕は今のクイズ大会を少なからず楽しめた。彼女もその表情を見る限りは楽しんでくれたと思う。これで今日一番の難所と思われた危機は去った。
「どう?あたり?」
「…見てみてください」
欲しい答がありますよ。では失礼。
丁寧に封をされたそれに手をかけ、開封する。交差されたリボンをしゅるると解いて、ふたを開けたら、
「……わ、」お見事。僕の予想に反することもない。ただ、思ったのと違うのは。
「手作り?」
にしてはかなりのレベルだ。あくまでも彼女の力量に対してだが。だからお店で買ってきたものじゃあない。僕の声音から心中を察したのか、彼女は少しだけムッとした。
「ミクちゃんとリンちゃんに手伝ってもらいはしましたけど」
「へぇ。なかなか上手くできたね」
これは…なんていう種類だろう。そこまでは分からないけれど、百見は一食に如かず。早速頂きたい。
「お召し上がってもよろしいですか」
「…敬語の使い方おかしいですよ」
すいませむ。
こちらから尋ねておいたにも関わらず、許しを得ないまま僕はその一つを指先でつまんだ。正方体に近い形をしたそれを一巡眺めてから、ひょいっと口の中へ入れる。
「どうですか…?」
「んーまい」
膝に手を置いて中腰の体勢で問いかける彼女に答えた。ころころと口の中で溶かしながらそれを味わう。程良く甘い。表面は硬めなのに、中はとろりと柔らかい。これがうわさの生チョコかいな。知らないけど。
胸を撫で下ろしたような顔をして、彼女はやっと僕の隣に腰を下ろした。一人分の重さだけソファが沈む。チョコの付いていない方の手に彼女の柔らかい髪がかかる。長髪のひとってシャンプーとか大変そうだな、とかカンケーないことを思って、今度がっくんにでも聞いてみようとか。あでも、互いのマスターがナイスでデュエットしないと会えないなぁとかとか。チョコが溶けきるまで僕はそんな他愛もないことを考えていて、隣人にこの静寂に何も言わなかった。隣の彼女もまた、然り。
「おいしかったよ。ごちそうさま」この国の風習に倣って合掌する。
「いえ、どういたしまして」
彼女は照れたように顔に朱を差して、僕じゃなくてフローリングに向かって言い放った。あの、僕は隣にいらっしゃいますよ?…やっぱり敬語は駄目だ。今のもきっと間違ってる。また咎められるだろうし、言わなくて良かった。さてさて本題に戻ろうか。
なんでこういう時に限ってだれもいないかね。話が続かない。ついでに息も長いこと続かない。ずっと前から、具体的に言うと桜がこの部屋に咲いたぐらいから、体温が上がりっぱなし。ほんの少し、逆上せてきた。そんな僕の諸事情を公にしたのは他でもない。そろそろ限界なんだ。
「…あれ?ぜんぶ食べてないんですか?」
はい。クイズ大会の勝因の確信の理由と繋がるけど、僕の誕生日はバレンタインに近いんだ。いろんなひとからチョコやらクッキーやら、たまに手の込んだ、つまり手作りのおかしをもらう。手作りなら当然消費は早い方がいい。単純に言えば、許容超越。朝からたくさんもらったから、できるだけ食べたその残りでさえも冷蔵庫には入れられなかった。他の食品に匂いが移ったらやだし。彼女には悪いけど、これ以上はちょっと無理かな。
「明日食べるよ」
ルカからもらったものは、ちょっとでも長くとっときたいし。言い訳じみた言葉を補う。それがこの空間を壊さないことを願いながら。
「それよりさ。これ、バレンタインも兼ねてるんだよね?」
「はい、一応」
なら話は早い。バレンタインにはお返しの日が設けられてるからね。現代ではすでに消えかかってはいるけど。
「来月お返しするよ」
「えっ?」
あれ、予想外。喜ぶと思ったのに。彼女は不意に僕の顔を見た。その瞳に喜怒哀楽のどの感情もなくて、遠慮とか配慮とかそういうかんじの感情があぐらをかいていた。そうだ。彼女はこんなひとだったな。自分の事より他人のこと。お人好しというかなんというか。
「だから、来月の14日。ホワイトデーでしょ?」
「いや、そういうことじゃなくて…」
??
女心ってやつは難しい。彼女の心中は察せない。そういうことじゃないってどういうことだろう。むむむ。
難解な問題にどう手をつけていいか分からない僕に今度は彼女が船を漕ぐ。
「お、返しの前に、することありませんか…?」しどろもどろ。言いにくい話題なのか…?
「お返しの前…」
「あっ、わかんなかったら別に」
…ああ、お返しの前に、ねぇ。なるほど彼女もひとの話をよく聞いている。それとも、
「いいんですけd「わざわざありがとう。大変だったでしょ」
「……!」
期待してたのかな。してなかったわけないか。だってほら、うれしそう。
本当にこのまま花見しようか。左手に触れたその髪を持ち上げる。けれどそのほとんどが、指先からさらさらと流れ落ちていった。それをもう一度、次は少し指に絡ませて。
「お礼、してもいい?」
頬に乗せた朱色の意味が変わる。彼女は顔を伏せ、無言のまま僕の鎖骨辺りに額を擦り付けた。髪の隙間からのぞかせる耳を見て、笑みがこぼれるのはごく自然なことなのだろう。
「…今日はカイトさんの誕生日ですし」
お願いは聞きますよ。
言いながら見上げるその青を見つめる。そこにまだ喜びと期待があるように見えたのは、間違いないはず。
「ルカ…」
指先に残る桜に口付けて、愛おしい彼女の名前を呼んだ。
◇ ◇ ◇
カイト誕生日おめでと!
ルカの誕生日も祝えなかったから、それなら二人まとめて祝っちゃえ!…ってね←
ボカロのNLCPならカイルカが好きなんだ…!
20110217
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