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ボカロとか東方とかWJとかが好きなかんりにんの、夢とか日々とか妄想とかが詰まった小さな部屋。

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1人の若者が、自転車に乗って下校するところでした。
いつも帰る道には信号がひとつあって、今日はそれに引っかかってしまいました。
仕方がないので違う道を通って帰ろうと思いました。
ハンドルを切って、細い道へと入っていきます。

ところでこの若者は、最近いろんな事で悩んでいるのです。
勉強のこと、
友だちのこと、
自分の健康のこと、
とかくいろんなことに頭を抱えています。
好きなことも嫌なことのために制限し、すべきことが嫌になってしまいます。
好きなことが出来ない日々なんて嫌だ。
だけどわがままばかり通していられる世の中ではありません。
若者はここ最近、仕方なしに日々を送ってきました。
やらなきゃいけないから。
周りもみんなやってるし。
だからぼくも、やらなきゃいけないんだ。
そんな、世間の風に流された生活を、若者は無駄に送っているのです。
自分の意志とは関係なく、
受け身一方な生活を。

自宅との距離をどんどん縮め、若者は走っていきます。
まるでこの世の不条理に抵抗するかのように、全速力で。
その時、若者の目の前には、1人の子どもと1人の大人が見えました。
親子なのでしょう。母親と見える大人は、自転車を押しながら子どもに聞きました。

「乗らなくていいの?」

その自転車のキャリアにはチャイルドシートがついていて、子どもはそれに十分乗れるほどの背丈でした。
ですが子どもはそれに乗るどころか、歩幅の広い母親について行くために走っているのです。
ぼくなら乗せてもらうかな。
若者はそう思いながら、親子の横を通り抜けようとしました。
少し抜いた後、子どもは言いました。

「いい。がんばって、はしるから」

小さい足で、小さい体で、子どもは一生懸命走ります。
若者は思わず振り返って、子どもに目をやりました。
そしてその姿を見た途端、何かが胸を掠めました。
今まで世間を、大人を批判し続けた若者は気付いたのです。
無理だ無理だと言って嫌なことを嫌々やってきた若者も、
子どものままでいようと思っていた若者も、
結局は大人に近づいていたことを。
理由もなく努力するという事を嫌った時点で、若者は大人と同じ考えを持っていたのだと。
楽な道が目の前にあってもそれを選ばない子どもに、気付かされたのです。

若者は自身を見つめ直しました。
努力するという事は楽なことじゃあない。
楽しいことでもない。
だけど、その向こう側にはいったい何があるんだろう。
答えはあっさりと、若者の心を変えました。
そうか。
理由がないから努力しないなんて、ばかみたい。
何の保証もない未来に、楽観視なんてできないのだから。
未来の先に後悔はできても、そこからさらに未来を変えることなんて。
なんて、ばかばかしい。
今やらなくて、いつやるのさ。
そう、はじめから若者の答えは決まっていたのです。
なら、今。

曲がり角を曲がってすぐには、あまり長くない下り坂があります。
若者はその坂が好きでした。
漕がなくても、自転車は勝手に進むのです。
下り坂を下る若者は、風を切って走っていきます。
いつもなら、疲れた、と心の中で呟きます。
足を止めて、流れに身を任せて。

今日は違いました。
(帰ったら、なにからしようかな)
若者は久しぶりに、生きている感覚を思い出しました。
させられるのではなく、自分からやろうと、思ったのです。

今日その時の風は、何とも言えない心地よさがありました。

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